― 知り合いが経験した“搾取構造”の話 ―
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■ 「やりがい」に釣られて、心がすり減っていく
「ウチは給料は高くないけど、その分やりがいはあるよ!」
これ、俺の知り合いが就職の面接で言われた言葉だった。
当時の彼は、「仕事ってお金よりも気持ちだよな」って、どこかで思い込んでいた。
「自分のためだけじゃなく、誰かの役に立ちたい」
「やりがいを求める自分って、ちょっとカッコいいかも」
そんな気持ちで飛び込んだ飲食の世界。
でも現実は、理想とはまるで違った。
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■ 「やりがい」で働かせる職場の正体
彼が入ったのは、地方の個人経営の飲食店チェーン。
上下関係が厳しくて、休憩なんて取れた試しがない。
定時を過ぎても「仕込みが残ってるから帰るなよ」
休日でも「人手が足りないから出てくれ」
しかも、残業代は出ないのが“当然”という空気。
でも誰も文句は言わなかった。
「夢のため」
「やりがいがあるから」
という言葉が、すべての違和感をかき消していた。
彼自身も、最初は納得してた。
だけど気がついたら、自分の時間も感情も、すべて“タダ”で差し出していた。
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■ なぜ「やりがい」は搾取に使われやすいのか?
やりがいって、本来は“内側から湧くもの”のはず。
でも、それを会社が「報酬の代わり」として使い始めると、話は別だ。
「自己成長できるよ」
「感謝される仕事だよ」
「意味がある仕事なんだ」
そう言われると、それを否定する=「心が汚い」「やる気がない」って思われそうで、黙り込んでしまう。
結果、自分をすり減らしながらも、辞められなくなる。
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■ 「やりがい」と「待遇」は、両立できる
やりがいのある仕事は確かに素晴らしい。
でもそれは、「ちゃんと暮らせる」ことが前提だ。
• やりがいはあるけど、給料が生活ギリギリ
• やりがいはあるけど、休みがなくて心がすり減る
• やりがいはあるけど、人間関係がギスギス
これってもう、「やりがい」じゃなくて「麻痺」。
やりがい“だけ”では、人は続けていけない。
本当に働き続けられる職場っていうのは、
やりがいもあって、ちゃんと給料もあって、休みもある場所だ。
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■ 「やりがい搾取」企業の特徴3つ
1. 待遇より「夢」や「想い」を先に語る
→ 精神論だけで現実の数字を隠す会社は要注意。
2. 「ウチは家族だから」が口癖の上司がいる
→ 境界線が曖昧で、休日も“自己責任”で出勤させがち。
3. 離職率の話になると急に話を逸らす
→ 都合の悪いことに向き合っていない証拠。
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■ 最後に
この知り合いは、最終的に会社を辞めて、今は全然違う業界で働いている。
収入も増えたし、休みもちゃんとある。
「やりがい? 今の方がずっと感じてるよ」
って言ってたのが、なんか救われた気がした。
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「やりがい」は、報酬を補うものじゃない。
本当のやりがいは、余裕のある場所でこそ育つ。
あなたが「大切にされてる」と感じられる職場を、どうか見つけてほしい。
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【ゴリラ兄貴|さよならブラック編集部】
「やりがい」って言葉で自分を誤魔化すの、もうやめよな。
その感情、大事にしようぜ。


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